1.はじめに
筆者は根っからの理系の人間であり、これまで歴史や文化には興味がなく、山名氏に関しても「応仁の乱」程度のことは学んだことはあったが、全国山名氏一族会の活動には関与してこなかった(会員ではあったが)。
しかしながら、歳を重ねるにつれ、「山名氏」とは何者かが気がかりとなり、平成24年度山名会再興総会から参加している。これまでの会員の諸先輩の努力により、山名氏が日本の歴史の中で重要な役割を担ってきたことを明らかにし、日本各地にいる子孫や関係者との連携を深めていることに敬意を表する。
今回の報告は無知な筆者のおさらいも含めて、「全国山名氏一族会」で何気なく使っている各種の言葉の意味を理解することに加え、「山名」に関わるデータについてインターネットを活用して調査分析を行った。読者にとっては当たり前のことばかりかもしれないが、筆者の頭の整理を含め、本文をまとめてみた。何かの参考になれば幸いである。
2.「氏」という言葉について
氏について基本的な由来について以下に要約する。
- (1)氏(うじ)
「氏」は血族、親族を表す。天皇に賜ったものもあるが、地名や職業に由来するものも多い。
<参 考>
山名氏の本姓は源氏。家系は清和源氏の一家系である名門「新田氏」の一門。新田義重の庶子「三郎義範(または太郎三郎とも)」が上野多胡郡(八幡荘)山名郷(現在の群馬県高崎市山名町周辺)を本貫として、山名三郎と名乗ったことが呼称の始まりとされる。 - (2)姓(かばね)
「姓」は朝廷が各氏族や個人に与えた「位」を表すもの。 - (3)名字・苗字
「名字」は、同じ氏名を名乗るものが各地に増え、「氏」を区別するために領地の地名をとるなどして名乗るようになったもの。なお、現代では氏、姓、名字(苗字)の区別はなくなっている。
3.「清和源氏」について
源氏の系統の一つで、武家の名流。清和天皇の孫である経基王(源経基)に始まるとされる。経基の嫡男「満仲」摂津守となり武士団を結成したことにより武家として栄えることとなった。子孫が各地で栄えたため、地名を付して「摂津源氏」「河内源氏」「美濃源氏」のように呼ばれることとなった。源頼朝や足利尊氏は河内源治の流れから出たもの。
天皇から賜った氏族のうち、特に繁栄した源氏、平氏、藤原氏、橘氏を「源平藤橘(げんぺいとうきつ)」という。強大な権力を誇った一族であり、その氏の広がりが名字の誕生につながったためにこのように呼ばれる。
「源氏」は嵯峨天皇が皇子たちの臣籍降下の際、皇室と「みなもと」を同じくするという意味からその氏を与えたのに始まる。その後臣籍降下の際に「源」氏が与えられることが多くなり、臣籍降下された天皇の名を付して呼称される。断絶したものも含め、21の系統があるとされる。嵯峨源氏や清和源氏などである。
4.現代苗字ランキングの中での「山名」の位置付け
日本人の名字(苗字)のほとんどが「源平藤橘」から始まったと言われ、苗字辞典等には四氏族からの流れを示す記述が並んでいる。苗字の電話帳掲載数(調査年は不明)で調べた結果によると、「山名」は1703件があり、電話帳掲載数の順位は1763位である。参考までに日本の現代苗字ランキングを以下に示す。
順位 | 苗字 | 電話帳掲載数 |
1位 | 佐藤 | 375,150件 |
2位 | 鈴木 | 328,415件 |
3位 | 高橋 | 273,259件 |
4位 | 田中 | 252,892件 |
5位 | 伊藤 | 209,064件 |
6位 | 山本 | 205,841件 |
7位 | 渡辺 | 205,442件 |
8位 | 中村 | 200,789件 |
9位 | 小林 | 196,666件 |
10位 | 加藤 | 165,014件 |
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1763位 | 山名 | 1703件 |
5.戦国武将の名字の中の「山名」について
珍しい名字ランキングが調べられ、「山名」は「戦国武将の名字」の中に位置付けされ、珍しさの順位は16位である。そのデータの中では全国順位は1768位で、約9,200人が「山名」という名字を名乗っているとしている(調査年は不明)。調査対象は、電話帳データをもとに世帯が確認できるもののみを集計している。順位は人数の少ない順(珍しい名字)を意味する。参考までに珍しい「戦国武将名字ランキング」を以下に示す。
順位 | 名字 | 全国順位 | 全国人数 |
1位 | 長宗我部(ちょうそかべ)元親 | 66,327位 | 約20名 |
2位 | 蘆名(あしな)盛氏 | 60,350位 | 約30名 |
3位 | 豊臣(とよとみ)秀吉 | 46,607位 | 約50名 |
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16位 | 山名裕豊 | 1,768位 | 約9,200名 |
6.都道府県別「山名」の電話帳掲載数ランキング
都道府県別に山名のランキングを石川県について調べてみると、1407位で32件が検索される。各県の傾向を知りたく、県別に検索を行ったが、十分にデータを取得できなかった。検索できた数例を示すと、北海道では1659位で111件、岩手県では1853位で17件、群馬県では2505位で14件、島根県は1713位で12件が検索された。その際の日本全体での「山名」の電話帳掲載数は1707位で2176件という数字が検索される。このデータは前章の掲載数順位と幾分数字が異なっている。本章でのデータは、全国電子電話帳CDーROM(2002年版)からの抽出によるとされ、大元のデータはNTT発刊のハローページ(平成13年(2001年)発行)に従っている。用いたデータが幾分古いとは言え、ほぼ現状把握ができ、今日における「山名」という名字の大体の位置付けの傾向を知ることができる。
7.全国の町名に係る調査
山名町(ヤマナチョウ)についてインターネットを用いると、下記の3件が検索される。
(1)群馬県高崎市山名町
(2)静岡県袋井市山名町
(3)京都府京都市上京区山名町
(1)の高崎市山名町については山名氏の発祥の地である。
(2)については山名郡袋井宿、川井村、木原村、土橋村、西田村、広岡村[一部]が合併し、山名郡山名村が発足した。町制施行により山名郡山名町(1889)となり、磐田郡が山名郡を編入し、磐田郡山名町(1896)となる。市制施行(1958)により、現在の袋井市山名町となっている。
(3)については山名宗全の邸宅がこの一帯にあったことが名前の由来となっている。また余談ではあるが「応仁の乱」で、西軍を率いた山名宗全がここに陣を構えたことが、「西陣」の名前の由来である。
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